New article

車の走行性能を決めるものにはいろいろありますが、パワーを決めるエンジン、コーナーリング性能を決めるサスペンション、ロスの無い走りをするためのトランスミッションなどの他にブレーキ性能も忘れてはいけません。

一秒を競うモータースポーツの世界では、エンジンパワーやサスペンションもそうですが、ブレーキの性能を特に重視します。
高速域からコーナーを曲がれるスピードまでスピードダウンさせるにはブレーキ性能の良し悪しが問われますし、短時間で思ったスピードまで下げることができる方がタイムアップすることができるのです。

 

これは公道でも同じです。
思ったところで止まる性能、パニックブレーキを掛けた時にきちんと止まってくれる性能、こういったものがなければ、うじゃうじゃと車やオートバイ、自転車、歩行者が使う道路を安心して走ることができません。

それだけ重要なブレーキですので、ちょっとした違和感や不具合などがあった場合はすぐに対処すべきですが、街中を走っている車の中でブレーキを掛けるたびに「キーキー」と音を立てている車を見かけることがあります。
音からすれば何かトラブルでも起きているのではないかと思ってしまいますが、実はその音は全く正反対のことから発せられる音なのです。

 

ブレーキを知ろう

音の原因を探る前にブレーキの構造を知っておきましょう。

現在、よく使われているブレーキにはドラムブレーキとディスクブレーキがあります。
ドラムブレーキは円形の器状になっているブレーキドラムの内側からブレーキシューを押し広げて、ブレーキドラムとブレーキシューの摩擦抵抗によって回転を止めようとするもので、製造コストが安く済むため、廉価モデルのリヤブレーキやパーキングブレーキとして使われることが多くなっています。
制動力が高いのでトラックなどにも使われていますが、構造自体が大気に触れる面積が少ないため、摩擦による熱がこもりやすく、その熱によって制動力を極端に低下させてしまうという弱点もあります。

ディスクブレーキは、むき出しのディスクローターといわれる円盤を左右からブレーキパッドというもので挟み込む形で摩擦抵抗を生み出し、それを制動力とします。
ブレーキシステム自体がむき出しとなっているため放熱性がよく、熱によるブレーキ性能の低下を防ぎやすいことからスポーツモデルやレーシングマシンなどに使われることが多く、一般の車両でもフロントブレーキだけディスクブレーキを採用したり、重量級でパワーのあるエンジンを搭載した高級車では四輪ディスクブレーキとすることもあります。
ただ、ブレーキ単体での制動力はドラムブレーキより劣るため、油圧系統でそれを補う形をとっています。

 

制動力は摩擦抵抗によって生まれる

ドラムブレーキもディスクブレーキも何かに何かを押し付けて、その摩擦抵抗によって制動力を得る形となることがお分かりいただけたと思います。

モノとモノをこすり合わせた時というのはほとんどの場合、音が出ることになります。
例えば、楽器のバイオリンは張られた弦に弓をこすり合わせることによって音を出すのと同じです。
実はブレーキに関しても同じことで、ブレーキドラムとブレーキシュー、ディスクローターとブレーキパッドがこすりあわされる時に音は出ています。

しかし、道路を走っている車を見ているとブレーキを掛けたことによって音が出ている車はほとんどいません。
これは、音が出ないようにしているからなのです。
音はこすり合わされるときにその部分が細かく振動することによって起こります。
音を出ないようにするにはその振動を押さえればいいわけで、ブレーキパッドの裏にブレーキグリスやシム、バックプレートなどといわれる鉄板を入れてその振動をおさえ音も抑えているので、一般的な車では音がほとんどしません。

 

音が出る車

それでも中にはキーキーうるさい車がときどき走っています。
音が出ている車は本来、音が出ないようにしている部分が何かしらの原因で欠如している証拠で、ブレーキグリスが流れ落ちてしまっている、シムやバックプレートが外れてしまったといった状況になるといわゆる「ブレーキの鳴き」の症状が出てしまいます。
しかし、こういった状態でも、ブレーキ自体の制動力が一切低下していませんので、ブレーキが鳴くからといってブレーキにトラブルが出ている、ブレーキパッドやブレーキシューを交換しなければならないということはありません。

むしろブレーキの鳴きというのは、ブレーキ能力が高まれば高まるほど大きくなる性質があるため、ブレーキがキーキー言っている時はブレーキが最大限の仕事を行っていると思えばいいでしょう。
スポーツモデルなどでブレーキパッドをフェード性の高いものに交換するとよくキーキーと鳴きますが、これもブレーキ性能が高まっている証拠で、ブレーキの鳴きが出る方が交換した甲斐があったというものです。

 

ブレーキの鳴き以外の音

制動力が高まっていることをあらわすブレーキの鳴きですが、たいがいの場合、その音はキーキーとかキューといったちょっと耳障りな高音域の音になりますが、そうではなくブレーキをかけたときにボディに響くような「ゴーゴー」という音は制動力が高まった時にでる音ではなく、ブレーキパッドの金属面とディスクローターがこすれる音で、ブレーキパッドの減りを知らせるシグナル音です。

ディスクパッドにはタイヤのスリップサインのごとく、ブレーキパッドが完全になくなる前にブレーキパッド面に金属が一部露出するような構造になっています。
完全にブレーキパッドが無くなる前にそれが最初にこすれて、不快な音をわざとさせてブレーキパッドの交換を促しているのです。

ですので、この音が聞こえた場合は、すぐにでもブレーキパッドを交換しましょう。
そうしないと、露出した金属部分がディスクローターを傷つけてしまい、ブレーキパッドの交換と一緒にディスクローターの交換や研磨などをしなくてはいけなくなります。
また、最悪の場合はブレーキが利かない!何てことにもなりかねないので注意が必要ですね。
このゴーゴーという音だけには気をつけましょう。