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自動車を買取店で売却しようとした時に査定を行うことになるわけですが、その時の査定額があまりにも低すぎて「果たしてその査定額が妥当なものなのか?」と思うことがあると思います。
それから中古車販売店にて、中古車を買う時に「この車、本当に事故車ではないのか?」と思うこともあるはずです。

確かにこれは妥当な疑問です。
買取店の査定などある意味では言い値ですし、中古車販売店の中古車価格など仕入れ価格に利益を上乗せしただけの金額ですので「それイコール事故車ではない」とは言い切れません。
そんな疑問をできるだけ解消しようということで作られた団体が日本自動車車査定協会という団体です。

 

日本自動車査定協会とは

日本自動車査定協会は、経済産業省、国土交通省といったお役所の後押しによって作られた民間団体で、自動車の価値の出し方、査定をメインとした業務を運営している一般財団法人です。
お金の出どころは、ディーラーや買取店、中古車販売店などといったいわゆる中古車を扱う企業からで、主に年会費といった形で出資されています。

この団体は中古車関連の業務を行っていますが、中にはあっても全く意味がないものもあり、消費者に対してメリットになることがないものまであります。

 

日本自動車査定協会の主な業務と現実性

日本自動車査定協会では、そのほとんどが一般消費者には関係のないことになるのですが、車を売ったり中古車を買ったりといったことを行う上で関連性が出てくる業務が含まれています。
その主な業務を見ていきます。

 

イエローブック・シルバーブックの作成

イエローブック・シルバーブックとは、毎月1日に発行される機関誌で自動車の価値を示すものです。

イエローブックは、中古車として扱う場合の車の仕入れ額が記載されており、これを見ればその車をいくらぐらいで仕入れればいいかというのがわかるようになっています。
これはあくまでも業務用ということになりますので、一般的には個人が購入、所有することができないものとなります。
対してシルバーブックは、中古車販売価格の基準値が書かれているもので、これを見て現在、その車がいくらで売られているのかということがわかるようになっており、こちらは一般消費者でも購入、閲覧をすることができます。

これらの2つのものがあれば、買取にしても販売にしても中古車に関わる業務を的確かつ簡単にできそうに思えますが、実際には、これらのものを買取店や中古車販売店が忠実に受け止めるということはありません。
とりあえず参考にはしますが、買取店では独自の査定基準を持っており、それによる査定額を優先しますし、中古車販売店においても結局は現実的な仕入れ値に利益を乗せて販売するだけですので、中古車価格は実際の仕入れ値によるところとなり、全く違う価値観を持つことになります。

イエローブックに意外と忠実なのが下取りで、ディーラーではよく参考にされます。
これが実は下取り金額が買取金額に比べて圧倒的に低い金額になる理由であって、イエローブックに大きく左右されていると言っていいでしょう。

 

査定士の育成

日本自動車査定協会では、この団体内での査定士の育成と認定を行っています。
注意していただきたいのがあくまでもこの団体内での話というところです。
しかるべき講習を受けて、しかるべき試験を受けて晴れて査定士となるわけですが、国家試験ではなくフルーツアレンジンメントやペン字検定、野菜ソムリエなどといった民間資格、いわゆるなんの効力もない資格ですので、持っていても実社会では全くメリットはありません。

強いて言うのであれば、中古車販売店や買取店の店先に査定士の認定証や査定士がいることの証しとなる証票を飾り、知識のない人間に何のいわれもない安心感を与えることができるだけでしょう。

実際の査定額に関しても査定士が出した査定額が必ずしも正しい査定額ではなく、むしろ日本自動車査定協会のやり方で出された査定額で「買い取ります!」などと言った日には誰も車を売ってくれることが無くなってしまうので、認定査定士だとしても日本自動車査定協会の査定方法ではなく独自の査定方法で出された金額を提示することがほとんどのようです。
しかもこの査定士になるには、講習を受けて義務教育レベルの学力があれば合格することができる程度の試験をクリアするだけですので、たいしたことはありません。

 

減価額証明書の発行

交通事故を起こした場合、それによる車の破損によって将来的な売却や下取り時の価値の低下をひきおこすことがあります。
その中でも相手の過失が大きい場合、その分も損害として請求することができるのですが、それには事故を起こしたことでどれだけ価値が落ちたのかということを証明しなければなりません。

一般的には他の損害金に上乗せする形で相手の損害保険会社からその金額を受け取ることが多いのですが、あまりにも低い金額であったり、そういったことをまったく考慮されていない場合には証拠をそろえて請求することが必要となります。
そこで使うのが自動車査定協会が発行した減価額証明書で、これによって証明された査定額と事故を起こしていない時、要するに事故車ではない時点での査定額との差額が損失となり、それを損害賠償金として請求することになります。

ただ、現実的にはそういったものを出したところで損害保険会社は動くことはなく、単なる参考書類として受け取るだけとなり、それによって要求した損害金を受け取ることができるわけではないようです。
逆にその書類を取るために時間と1万円ぐらいの費用が掛かるので、全く持って無駄なこととなる可能性も否定できません。

 

日本自動車査定協会は必要?

こうしてみると一般消費者に関わる部分で大きなメリットは少なく、業者間のある意味での慣習的なものになっているような気がします。

査定額も正しくない、査定士も名ばかり、減価額証明書も単なるメモ書き程度の効力しか持たない、こんなことでは存在する意味すらないように思えます。
しかし、業者としてはいわゆる「基準」というものが必要で、それから大きくかけ離れた価値観を持っていても基準があれば人間として一安心といったことになるようで、これを得るために高い会費を払ってでも加盟し続けているようです。

日本自動車査定協会はあくまでも業者にメリットがあるもので消費者にメリットがあるものではないということになるようです。