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みなさん、10万キロの車といったらどういった車を頭に思い浮かべるでしょうか。
たぶんほとんどの人が、エンジンのあちこちからオイルがにじみ、ボディの下まわりはサビだらけ、ドアを開ければ、怪談話でよく使われる「ギー!」という音が聞こえてきますし、排気ガスなどまるで蒸気機関車の煙のようなものが出ている、こういったいわゆるボロボロのポンコツ車を想像するのではないでしょうか。

その様な想像した方は、その知識というか認識は捨てた方がいいでしょう。
もし「そうではない、正しい認識だ!」と思う方は一度近所にある中古車屋さんを覗いてみるといいかもしれません。
それこそ新車同様とまでは行きませんが結構きれいな車が並んでおり、その車の中には走行距離も10万キロを超えているものが結構あると思います。
実はこれが現在の10万キロの車なのです。

どうでしょう、もしあなたが車を購入しようとして、そういった車が適切な金額で売られているとしたら購入候補に入れますか?
たぶん、その車が10万キロ走っていることを知らなければ、購入候補にするのではないでしょうか。
しかし、10万キロ走っているということを知っているとすれば安くても買わないはずです。

これが現在の10万キロの壁です。

 

どうして10万キロ?

10万キロ走行車をどうしようもないポンコツ車で、買っても修理費用が掛かるだけの無駄な車といい始めたのはそれほど昔の話ではありません。
そういったことが実際にある10万キロ走行車の状態にピッタリだといわれていたのは1970年代から1980年代ぐらいで、それこそハイブリッドモデルや自動ブレーキシステムなどが全くない、ボディの大きさで自動車税に違いが設けられていた時代です。
確かにこの時代の車では10万キロぐらい走った車はひどいものでした。
冒頭で想像したとおりのエンジンはオイルまみれ、ボディはサビだらけ、ヘッドライトは片方切れていて真っ黒や真っ白な排気ガスを吐きながら走る車でした。

これには技術的にいろいろな部分に耐久性を持たせることができなかったということもありますが、それ以外にも自動車メーカー側が10万キロも乗ることはないだろうということで、車作り自体を耐久性がそれほどなくてもいいといった形で行っていたということもあります。
それによって誰もが想像するポンコツ車になってしまったわけです。
それに例えば7万キロや8万キロというより10万キロといった方がキリがいいと言うことで、昔は10万キロを一つの区切りとして使っていたわけです。

 

現在は?

10万キロ走った車を現在の中古車市場にある車で見てみましょう。
するとどうでしょう、ボディに錆などは一切見つからず、エンジンも快調そのもの、多少は修理した痕跡はありますが、完全に直っているので車の性能には全く影響はない、排気ガスは厳しい排気ガス規制によってきれいですし、ほとんど匂いもないといった状態です。

この車の状態をみて、10万キロ走った車と判断することができる方はそうそういないと思います。
これが現在の10万キロ走行車です。
この状態を1970年代の10万キロ走行車と比べてみたらきっと大きな違いに気が付くことになるでしょう。

 

中古車市場ではどうか

このように今と昔では大きく違う10万キロ走行車、この車を中古車市場ではどう見ているのかというと、実は今でも10万キロ走行車は「ポンコツの10万キロ走行車」として見る傾向が強く残っています。

これははっきり言って理由はありません、あるとすれば昔の概念が今にも受け継がれているといったところでしょうか。
温故知新などという言葉がありますが、現在の中古車市場における10万キロというのは「温故知新」の「温故」だけというのが正直なところで、いまだに10万キロは商品として使いようのない車として見る傾向がまだまだあるということです。

 

商売ベースで考えると理由が見つかる

昔の悪しき慣習を受け継いでいることがいまだに10万キロを区切りとしている理由としましたが、これを車の売買で利益を上げている中古車市場で商売としての観点で見るとどうやらそれだけではないことがわかります。
その理由の発端は中古車市場の利益優先の商い形態です。

中古車市場といってもいろいろな業者が入っていますが、特にこういった傾向が強いのは中古車の仕入れ先となる買取店です。
買取店ではできるだけ安く車を買い取りたいがために、まだまだ十分使うことができる車を、「10万キロだから」という言葉を使い、安く買い取られても当然であるということを強く押し出してきます。
素人である売り側としてはそれを言われてしまっては身も蓋もありませんので、そこで安い金額で売ってしまうのです。
これが元凶といっていいでしょう。

しかし、少々腹が立つのが、今度はその車の売り側となる中古車販売店です。
中古車販売店では安く仕入れた車を今度は高く売ろうとして、「10万キロでポンコツなど昔の話です」と今度は昔からある慣習を否定してくるのです。

買取店と中古車販売店で意見が違うことになるのですが、現状の10万キロの車を見れば正しい意見であるのは中古車販売店です、確かに10万キロぐらいでポンコツ扱いをしてはかわいそうです。
ですので、10万キロが一つの区切り、壁とする傾向を生み出しているのは買取店ということになります。

 

買取店がある限り10万キロの壁はなくならない

10万キロの壁をうまく利用して高い利益を上げている買取店、買取店では安く買って高く売るのが基本ですし、誰にも通用する切り札がこの「10万キロ」ぐらいしかなくなってしまったので、これを使うのは仕方がないことかもしれませんが、売る側としてあるいは正確な価値を知りたいと思う人間からすれば、こういった慣習を使い続けているのは好ましくありません。
しかし、買取店から中古車を仕入れるという中古車流通形態がある以上、もうしばらくはこの傾向は続いていくことでしょう。
また、消費者目線としても、どんなに優良な車両が提供されたとしても、この10万キロの壁はあり続けると思います。