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「自動車を買ったら、必ず自動車保険に入りなさい。」といわれることがあるかと思いますが、これは至極当たり前のことであります。
なぜなら強制的に加入させられる自賠責保険では何かあった時に十分な補償を受けることができないからです。

 

自賠責保険の補償範囲

半ば無理やり加入させられることから「強制保険」などといった悪名がついている自賠責保険ですが、自動車全てに補償能力を持たせるといった意味合いで作られたもので、これが作られたのは1955年のことで、当時の貨幣価値にあわせた補償能力を持たされているため、現在でそれを活用するにはいささか無理があります。
自賠責保険で補償されるものは、事故相手の人間に対するものばかりで、いわゆる対人保険としての機能、それもかなり低い補償能力しか持たされていません。

 

傷害

相手の人間が怪我をしたときに補償されるもので、治療費や仕事を休んだことによる損害、慰謝料などを含めて最大で120万円まで補償されます。

 

後遺症

相手の人間が怪我によって後遺症を併発した場合に払われるもので、常に介護が必要な場合と必要な時だけに介護が必要な場合とで補償される金額が変わってきます。
常時介護で最大4000万円、随時介護で最大3000万円となります。
後遺症の障害等級によっても補償額が変わってくることもあり、等級に合わせて最大75万円から3000万円の間で補償されることになります。

 

死亡

相手の方が死亡してしまった場合は、いろいろなことを含めて最大で3000万円まで補償されます。
死亡に至る過程で治療費が掛かったり、仕事を休むことによる損害が出た場合は死亡補償とは別に最大で120万円までの補償を受けることができます。

 

自賠責保険で足りますか?

誰もが加入している損害保険の自賠責保険、確かに何かあったときにそれなりの金額を補償してくれることになるわけですが、果たして自賠責保険での補償金額で足りるでしょうか。

 

死亡させた場合

事故によって相手を死亡させてしまった場合は、相手の職業や年収、性別、年齢、家族構成などによって賠償額が決められることになります。

例えば、亡くなった方が年収300万円の人と1000万円の方では1000万円の方が賠償額が大きくなりますし、サラリーマンより医師や弁護士といった職業の方のほうが高くなります。
年齢に関しては、70歳あたりまで働くことができるということを仮定して、亡くなった時の年齢から逆算して賠償金を計算します。
家族構成は独り身であるより、配偶者がいて、更に未成年の子供の数や介護しなければならない高齢者などによって賠償金が変わって来るのです。
性別も影響し、女性よりも男性の方が額が大きくなります。

これは実例なのですが、横断歩道を歩いている40代の医師をはねて死なせてしまったという事故で、この方には妻もいて未成年の子供が2人いました。
即死状態で亡くなったこの事故のパターンで出された賠償金は約5億円、これは医師であったこと、年収が高かったこと、比較的若かったこと、家族がいたこと、そして事故の内容が一方的に悪かったことなどが大きく影響していたものと思われます。
この補償を自賠責保険にあてがってみると、このパターンで自賠責保険で補償されるのは3000万円まで、ということは仮に5億円としても残りの4億7000万円は自腹を切らなければならないということになります。

 

物を壊してしまった場合

例えば、赤信号になりそうな交差点を急いで曲がろうとして、無理なスピードで曲がった結果、アンダーステアに見舞われて大きく膨らんでしまい衝突することで何とか止まったというパターン。

この時にぶつかったものは電光掲示板の支柱や信号の支柱、道路標識はなぎ倒しガードレールも一部おおきく曲がってしまいました。
この事故では幸いにも人間が全く絡んでおらず、物損事故として処理されました。

この事故で発生した賠償金額は、電光掲示板の破損に1200万円、道路標識の破損に100万円、信号機の破損に600万円、そしてガードレールの破損に50万円となり、合計で1950万円ということになりました。
では、これを自賠責保険でなんとかしようということになりますが、残念ながら自賠責保険では物損事故においての損害は一切補償しませんので、約2000万円をすべて自分で払わなければなりません。

 

同乗者の怪我

寝不足のまま朝早くに家族と出掛けたはいいが、帰りの運転で急な睡魔に襲われて信号待ちしている前の車に衝突してしまいました。

それほどスピードが出ていなかったので、相手の車の損害も少なく相手の車に乗っていた方にも一切怪我はなったのですが、自分の車の助手席に座っていた奥さんがむち打ちとなってしまい、しばらく通院することになってしまいました。
そうなるとおのずと通院費や医療費などがかかるわけで、交通事故の場合は医療保険が使えませんので実費払いとなり、ちょっとした検査でも数万円というお金が必要になってしまいます。

では、これを自賠責保険で補償してもらおうということになりますが、この怪我に対する補償も自賠責保険では全くされることがありません。
なぜなら、自賠責保険は相手の人間に対する補償能力しか持っていませんので、自分側の人間の補償などされるわけがないのです。

 

穴埋めをするのが自動車保険

相手を死亡させても賠償金のほとんどが自腹、ものを壊してもすべて自腹、自分の家族が怪我をしても死んでしまっても一円も出ない、これが自賠責保険の現実的な補償能力なのです。
果たして、これだけの補償能力しか持たない自賠責保険だけで安心して運転することができるでしょうか。

自動車というものは一つ間違えば凶器になりますし、こちら側がいくら気を付けても徹底した安全運転をしていても交通事故というものは相手から降りかかってくることがありますので、100%事故を起こさないということはありえないのです。
だからこそ必要になるのが自動車保険、いわゆる任意保険であって、この自動車保険であれば相手の人間にけがを負わせてしまった、死なせてしまったことに対する補償能力を持つ対人保険、自賠責保険では一切保証されることがない物を壊してしまった、同乗者の怪我や死亡にも補償能力を持つ対物保険や搭乗者傷害保険などが用意されているのです。
特に対人保険、対物保険では、補償額に一切の制限を持たない「無制限」というものを選ぶことができるので、それを選んでおけば、先ほどの例のように5億円といった賠償額が出された時でも一円も自腹を切らないで賠償金をすべて支払うことができるのです。

自賠責保険はあくまでもかなり低いレベルでの最低限補償能力しか持っていないものですから、それの穴埋めと自動車保険に加入する必要があるということが言えるでしょう。