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雨が降っている時は、晴天時の何倍もの事故が起こるそうです。
これは雨によって視界が悪くなるということが一番の原因なのですが、これが一般道ではなく、高速道路での事故となるとそれだけが原因ではなく、ハイドロプレーニング現象も原因の一つとして見られることもあるようです。

 

ハイドロプレーニング現象とは

高速道路で大雨が降ると当然ながら路面に水がたまり、その雨水が舗装の状態や傾斜などによって排水されにくい状態であると一定期間、水たまりとなります。
舗装が傷み、轍が深くなったところにできることが多いのですが、その水たまりの部分を走ると一瞬ステアリング操作ができない感覚に見舞われる瞬間があります。
実はこれがハイドロプレーニング現象、水膜現象と呼ばれるものです。

ハイドロプレーニング現象とは、簡単にいえばタイヤと路面の間に水が入ってしまい、それによってタイヤが路面から離れてしまっている、要するにグリップを全くしていない状態になることです。

タイヤには常に車の重さが掛かっていて、路面にしっかりと付いた状態になっています。
車の重量バランスによって、まちまちですが、単純に4本のタイヤに均等に重さが掛かっているとすると、コンパクトカーで250kg、中型モデルで375kgの重さが掛かっていることになります。
空力特性やGによる重量の変化などといったものを除いて考えると、どんなスピードで走ったとしても、タイヤには常にこの重さが掛かっているわけです。

この状態で、ある程度の深さのある水たまりの上を走ると、その水たまりの水にタイヤの下に入り込もうとする力が加わるのですが、車重が掛かっているため水はタイヤの下に入り込めず、タイヤの両脇に逃げるか、タイヤのトレッド面に刻まれた溝、トレッドパターンへと逃げていきます。
実はこの状況はタイヤが水を追い出しているといった状態で、トレッドパターンの無いところは路面と接していてしっかりとグリップした状態、トレッドパターンは排水した水の通り道、逃げ道となっているのです。

入り込もうとする水の量と排水する水の量とで、排水する水の量の方が多い状態であれば、全く問題がなく、水分によって摩擦係数が落ちることによるグリップ力の低下が起きる程度で済むのですが、これが正反対の入り込もうとする水の量が多くなる、要するに走るスピードが速くどんどん水が押し寄せてくる形となるとすべての水をトレッドパターンに沿って排水することができず、トレッドパターンからあふれ出てきてトレッドパターンの無い面、要するに路面にしっかりと食いつく面にまで出てきてしまうわけです。
しかし、その状態でも何とか車の重みでタイヤを路面に押し付けているため、多少なりともグリップ力を持っているのですが、更にスピードが上がると入り込んで来ようとする水、要するに水たまりにたまっている水の量も増えますし、スピードが更に速くなることによって水自体の圧力が増してきてしまうのです。
これはベルヌーイの定理の一つである「流体圧力は、その流体のスピードが上がることで増す」ということで証明されています。

タイヤの下に入り込んで来ようとする水たまりの水が圧力を増してくるということは、いつしか、タイヤにかかる車重による圧力を超えてしまうということで、その圧力が車重による圧力に勝った状態に排水が追いつかなくなったことによってあふれ出てきた水がタイヤ下に入り込むことでハイドロプレーニング現象が起こるのです。
この状態はまさにタイヤが水の上で浮いた状態です。
極端な言い方をすれば、一瞬、湖の上に浮かぶボートと同じ状態であって、方向転換も止まることも難しい状態になるということになります。

 

ハイドロプレーニング現象にならないためには

ステアリングを切ってもブレーキをかけてもどうにもならないハイドロプレーニング現象、永遠にその状態が続くわけではありませんので、そこまで危険視しなくてもと思いたくもなりますが、ハイドロプレーニング現象よりもそれをきっかけにした事故がよく起こっているので軽視もできません。
そこでハイドロプレーニング現象が起こらないようにするにはどうしたらいいか見ていきましょう。

 

スピードを緩める

高速道路ですとついついスピードが上がってしまいますし、むしろゆっくり走ったら迷惑になるのではないかなどと考えてしまうため、どうしてもスピードは上がりがちです。
ハイドロプレーニング現象は、水の速度=車のスピードが高くなるほど発生しやすくなるので、雨が降っている時はスピードを落として走りたいものです。

 

水たまりを避ける

水がなければハイドロプレーニング現象は起きないということで、これが一番的確な判断でしょう。
しかし、車線一杯までひろがった水たまりや、車線変更して避けたいのに、車線変更できない、夜だから発見が遅れたなどといったこともありますので、これをし続けることは難しいでしょう。

 

タイヤを雨に強いものに変える

市販タイヤでは、モータースポーツ用タイヤのようにレインタイヤというものが存在しません。
逆にいえば市販タイヤがすべてレインタイヤであるということも言えるのですが、このタイヤにおいて一番大事なのがトレッド面にあるトレッドパターンの形状と深さです。

タイヤのトレッドパターンは水をタイヤの下から吐き出すための水路としての役割も持っています。
その水路が例えば、横方向につけられていたとしたらどうでしょう。
全く水が通らないわけではありませんが、非常に効率が悪くなります。

一方、流れる方向と同じ方向、縦方向に水路が作られていたらどうでしょうか。
きっとスムーズに水が流れていくはずです。

これと同じようにタイヤのトレッドパターンは縦方向、要するに回転する方向に入れられている溝が一番排水性を高めることができ、そういったトレッドパターンを持つタイヤを選べば、ハイドロプレーニング現象が起きにくくなります。
それとトレッドパターンの深さですが、これはいわゆるタイヤ溝の深さということで、法律で最低限の深さが決められています。

これは先程の水路に例えると、同じ幅でも深い水路と浅い水路でどちらがたくさんの水を流すことができるでしょうかということになります。
当然ですが、深い水路の方がたくさんの水を流すことができますので、タイヤ溝も浅いものよりも新品に近い深い状態のものの方がハイドロプレーニング現象が起きにくくなります。

事故といった面でも、溝の減ってきたタイヤは危険ですので、常にチェックして溝が減ってきたら交換するようにしましょう。