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舗装が整った道路が多い日本の道路事情の中でタイヤが砂地や泥道にはまってしまう、いわゆるスタックしてしまうということを経験することも少ないかと思います。
しかし、最近ではアウトドアスポーツが流行り、日常的に道の悪いところを走ることはないが、休日のレジャーの時だけに悪路を走るということをするようになってから、スタックしてしまう方が結構いるようなのです。

しかも、最近ではほとんど悪路走破性を持っていない、普通の乗用車をクロスオーバーSUVなどといって販売するようになったため、その販売戦略としての言葉を信用してしまい「道が悪くても大丈夫だろう」ということで果敢に悪路走行を望む方が多くなってきたためにその件数もうなぎのぼりのようです。
では、スタックをしたときにどうすればいいのでしょうか。

 

スタックした時の状態

スタックするという状態は、タイヤが路面のくぼみなどにはまって抜け出せない状態のことを言います。
こうなる原因は路面ミューが低いことで、タイヤのトレッド面と路面とのグリップ力が極端に落ちることから、トラクションをかけてもタイヤが空転し、路面にトラクションが伝わらなくなることから1トン以上にもなる物体を動かすことができなくなるのです。

これが路面ミューの高い舗装路であれば、少しアクセルペダルを深めに踏めば難なく脱出することができますが、砂地や泥道、深い雪道など、トラクションが抜けてしまう場合はどんなにアクセルペダルを踏んでもより一層深みにはまってしまうことになるのです。

スタックした時のタイヤ周辺の状態は、深い穴などにはまってタイヤがその深みを乗り越えることができないということと、路面ミューが低い路面状態になっているという2つの状態が確認できます。
この2つが揃った時に初めてスタックするわけですから、スタックから脱出する時はその両方、あるいはどちらかを取り去れば可能であるということになります。

 

深みを乗り越える

深みにはまった状態は、通常の路面状態でもより一層高いトラクションが必要です。
例えば、歩道の低くなった段差を乗り越える時に少しアクセルペダルを多めに踏むのと同じことで、アクセルペダルを踏み増すということはより高いトラクションが必要ということで、深みにはまった場合も同じことが言えます。

しかし、スタックしている時はそもそも路面ミューが低い状態となっているわけですが、舗装路の上を走っている時のように安易にアクセルペダルを踏み増してしまうと、タイヤが空転してしまうだけで一向に深みを登ろうとはしません。
そこでその深みを浅くして上げましょうということになります。

深みを浅くするには、深みを底上げするのではなく、高くなっている周りを低くすることで行います。
手やスコップでタイヤの周りにある泥や砂、雪などをかきだし、タイヤのはまっている一番深いところとの落差をできるだけ少なくし、スムーズに走れるように傾斜を緩くとるように前後の範囲を広くとってかきだすようにします。
乾いた泥道や圧雪路であれば、これだけでも十分に脱出することができますが、水分の多い泥道や新雪路、砂浜などタイヤが空転すればするほど深みはまってしまうような柔らかい路面では更なる対応が必要となります。

 

路面ミューを高める

柔らかい路面や水分を含んだ路面では極端に路面ミューが低い状態となっており、いくら強烈なトラクションを与えてもタイヤが空転してしまうことによってすべてが逃げてしまいます。
これではいくらタイヤの周りの泥などをかきだして脱出しやすい環境を作ったとしても車を動かそうとする力が働かないため、全く無駄になってしまうのです。

そこで取っていただきたい方法がタイヤの下、といっても真下ではなく、タイヤの直前、車の進行方向側に路面ミューを高めるものを置くのです。
少しでも動けばそれにタイヤが乗ることになり、路面ミューが若干高い状態となるため、トラクションがかかりやすくなります。
もしジャッキアップすることができる状態であれば、タイヤを浮かしてタイヤの真下に入れるのがいいでしょう。

置くものは毛布や大きめの布、木の板、鉄板などといったものです。
とはいっても、常にそういったものを積んでいるわけでもありませんし、周りに落ちていることもないと思いますので、あくまでも緊急事態ということでフロアマットを取り出してそれを敷くのがいいかと思います。
この行為をする時の注意点としては後にもお話ししますが、アクセルを急に強く踏み過ぎないことです。
下に敷いた物が吹っ飛ぶ可能性もあります。

一番いいのはスタック脱出用のスタックプレートやスタックステップなどといったものを敷くこと。
これはオフロードを走ることが多いオフロードマニアや日常的にオフロード走行を強いられる車では必ず載せられているといってもいいぐらい、オフロード走行では常識となっているもので、優れた携行性や実用性を持っています。
カー用品店などでも販売されているので、悪路を走る可能性がある場合は一枚ぐらい載せておくといいかもしれません。

それから、これは直接的に路面ミューを高めることではありませんが、スタックして空転してしまうタイヤの近くに人や重さのある荷物などを載せて荷重をかけるという手もあります。
荷重をかければタイヤがそれだけ路面に押し付けられることになるので、脱出しやすくなるでしょう。

 

スタック時の対処方法

スタックした時はとにかく穏やかな行動と安全の確保をしなければなりません。
まずはアクセルペダル、アクセルペダルはとにかくゆっくりと操作しなければなりません。
スタックから脱出するときは、タイヤがトラクションを発揮するかしないかのギリギリの状態であるため、ちょっとでも急にアクセルペダルを踏み増しただけで、タイヤのトラクションを失ってしまい脱出失敗となってしまうばかりか路面をさらに深く削ってしまい、更に脱出を困難にさせてしまいます。

この方法でも脱出できない場合は、前進したり後進したり前後運動を繰り返して、路面を踏みしめるとともに反動をつけてみます。
ただし、最近の車はオートマチックトランスミッションやCVTであることが多いため、セレクターレバーをガチャガチャ動かしながら前後運動をするのはトランスミッションやトルクコンバーターに多大なる負担をかけることになりますので適度に行いましょう。
脱出できたはいいが、修理費用に30万円もかかってしまったというのでは困りますよね。

 

ここまでやってもどうしても抜け出せない場合は、前述したように、下に何か敷いたり荷重をかけたり、路面を掘ったりといった対策を取り、再度トライしてみます。
もし、これで抜け出せないというのであれば、あとは仕方がありません。
近くにいる車に引っ張ってもらったり、周りにいる人に押してもらったり、ロードサービスを呼んだりといった手段をとるしかないでしょう。

いろいろと脱出方法を繰り返している時というのはどうしても安全面に気がいかなくなりがちです。
特に危ないのは車の前後、急にスタックから抜け出して急発進してしまうこともありますし、タイヤが空転して、泥や雪、砂などや路面ミューを高めるために挟んだ、マットや木の板、毛布、スタックプレートなどが勢いよく飛んでくることもありますので、そういったことが起こっても大丈夫なような対応をしておきたいものです。